歯医者さんのレントゲンで骨粗鬆症がわかる!?

 いつもメンテナンスでお越しになる患者さんのレントゲンを確認していました。虫歯はなく、歯周病も問題なし。「今日も問題なさそうだな」、そう思いながら私はもう一度、画面を少しだけ拡大しました。

 私は歯科医師としてレントゲンを診る(読影)ときに歯とその周りだけを見ているわけではありません。そのレントゲンに写っているすべてのことを診ています。

 特に気をつけてなければならない部位は下あごの骨のフチ。歯を支えている骨のそのさらに外側。普段はあまり意識されない部分ですが、実は全身の骨の状態を反映しやすい場所です。その患者さんのレントゲンではその輪郭が少し気になったのでした。

 骨のフチが以前のレントゲンと比べて薄く見える。滑らかだった輪郭が不揃い。治療が必要な所見ではありません。歯科的には問題なかった。でも見過ごすことはできませんでした。

 私はいつも思います。医師の一言は患者さんの心に思っている以上に残る。不安を与えてはいけない。でも伝えなければ気づかないことも多い。だからこう言いました。「歯や歯茎の状態は良いです。ただレントゲンを見ていてあごの骨のフチが少し薄く見える部分がありました。」患者さんの表情が少し変わりました。すぐに続けました。「歯医者さんのレントゲンだけで骨粗鬆症かどうかはわかりません。ただ、骨密度が低下している方に似た写り方をすることがあるんです。念の為、内科や整形外科で骨密度検査を受けてみるのも良いかもしれません。」これは診断ではありません。気づきのキッカケ(スクリーニング)です。

 しばらくして、その患者さんがこう話してくれました。「先生、検査を受けてみたら少し注意が必要な段階だって言われました。でも早くわかってよかったです。」その言葉を聞いて私は胸の奥が静かに温かくなりました。

 私たち歯科医師は歯だけを診ているわけではありません。レントゲンの向こうにある身体のこと。これから先の生活のこと。10年後20年後の健康のこと。そんなことを考えながら毎日、患者さんのお口を拝見しています。

 骨粗鬆症は「静かに進む病気」です。特に女性は、自覚症状が出にくい。ある日骨折で気づくことが多い。だからこそ偶然でも早く気づけることに意味があります。歯科用レントゲンがその小さなキッカケになることがある。私はその可能性を大切にしています。

 最後にもし私たちが「骨密度検査を受けてみませんか?」とお伝えしたときは、それは決して怖がらせたいわけではありません。あなたの未来を少しでも守りたい思ってお伝えします。

 阿部デンタルオフィスはお口の病気を予防する場所・歯を治す場所であると同時に、全身の健康を見守る場所でもありたい。私はそう考えています。